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1000ドルを10%の金利がつく銀行に預ければ、銀行は年末に1100ドル支払うことを約束する。しかし1100ドルで何が買えるかについては何の約束もない。これは、年間のインフレ率次第である。財・サービスの価格が10%以上で上昇すれば、購買可能な財で計った単位で見ると損をしたことになってしまう。

物価の一般的な水準の推移を把握するために、いくつかの指標が使われている。一番よく知られているのは、消費者物価指数、すなわちCPIであり、典型的な家計の消費に必要なドルの量を測るものである。ある年から翌年までのCPIの変化でインフレ率が測られる。米国におけるインフレ率を示している。インフレーションは、第一次世界大戦の末期にピークに達し、21%にもなった。しかし、この数字も1923年ドイツのインフレーションと比較すれば、たいしたものではなくなってしまう。ドイツのインフレ率は、年あたり200億%以上にもなったのである。もちろん、物価は常に上がっているわけではない。最近の日本、アルゼンチンや香港ではデフレーションの問題に直面している。米国は、大恐慌期には3年間で24%も物価が下落するという厳しいデフレーションを経験している。

エコノミストは、現在価格表示あるいは名目のドルと、固定価格表味あるいは実質のドルを区別して話すことがある。たとえば、1年間の銀行預金から得られる名目のキャッシュフローは1100ドルであるが、財の価格が年率6%上昇すると、翌年には現在購入できる財より6%少ない財しか購入できない。したがって、年末の1100ドルで買える財は、現在の1100/1.06=1037.74ドル分でしかない。つまり、預金の名目のペイオフは1100ドルであるが、実質のペイオフは1037.74ドルに過ぎない。

将来のt期における名目キャッシュフローを実質キャッシュるローに変換する一般的な公式は、

実質のキャッシュフロー=名目キャッシュフロー/(1+インフレ率)t

となる。たとえば、仮に1000ドルを10年間、10%で投資すれば、将来の名目のペイオフは1000×1.120=6,727.50ドルとなるが、年間インフレ率が6%であれば、ペイオフの実質価値は6,727.50/1.0620=2,097.67ドルとなろう。すなわち、現在持っているドルのおよそ6倍のドルを手にするが、財は2倍しか購入できないだろうということである。

銀行が10%の金利を提示しているというときは、これは名目金利である。このレートは、投資資金が増加していく速さを示している。

現在のドルでの投資額           1期後のドルでの受け取り           結果
1,000               ⇒           1,100                10%の名目収益率

しかし、インフレ率が6%であれば、現在と比べて年末にはたった3,774%しか豊かになっていない。

現在のドルでの投資額           1期後の受け取りの期待実質価値           結果
1,000               ⇒           1,037.74             3.774%の期待実質収益率 

したがって、「銀行は10%の名目収益率を提示する」、あるいは「銀行は3.774%の期待収益率を提示する」ということになる。ここで名目収益率は確定値だが、実質収益率は期待値に過ぎないことに注意が必要である。実際の実質の収益率は、年末になってインフレ率がわかるまでは計算できない。

インフレ率が6%であれば、10%の名目収益率は3.774%の実質収益率に換算できる。実質収益率を計算する公式は、

1+r名目=(1+r実質)(1+インフレ率)
=1+r実質+インフレ率+(r実質)×(インフレ率)

となる。前の例では、次のようになる。

1.10=1.03774×1.06
     
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